ZeruAI、プレシード調達を完了—担保依存のDeFiを行動スコアで変える試み
ZeruAIがプレシードをクローズした。DeFiとAIエージェント向けに行動ベースの信用スコアを提供し、過剰担保から動的なリスク評価への移行を目指す。調達額は非開示。
TL;DR:
- zScoreはウォレットを0〜1000で評価する。プロトコルはこのスコアを使い、フル担保なしでリスクを判断できる。
- 初期導入先ではエアドロップのSybil攻撃やトークン流出が減ったと報告されているが、具体的な数字は出ていない。
- AgentScanは、自律的にウォレットを持つAIエージェントをトランザクション履歴で評価する仕組み。
- Notalone Venturesが参加。暗号×AIインフラへの投資意欲がうかがえる。
- 調達額が非開示のため、このラウンドの評価には限界がある。
早期段階での資金調達—行動データで担保を置き換える狙い
ZeruAIは、暗号資産とAI経済圏向けにレピュテーション基盤を作っているスタートアップだ。2026年4月9日、プレシードラウンドのクローズを発表した。Notalone Venturesが参加している。
ブロックチェーンはデータこそ公開されているが、アドレスが信頼できるかどうかを測る共通の物差しがない。ZeruAIは行動ベースの信用スコアでこの問題に取り組む。
中核プロダクトのzScoreは、ウォレットのトランザクション挙動から0〜1000のスコアを算出する。プロトコルはこのスコアを使えば、150%超の過剰担保に頼らずにリスクを評価できる。関連機能として、活動連動の報酬設計「Zaps」と、AIエージェントのレピュテーション追跡「AgentScan」がある。欧州とアジアでアンダーコラテラライズド融資のパイロットがすでに進行中だ。
過去にはRouter Protocol、Covalent、Jokeraceのエンジェル投資と、Eigen Foundationのグラントを受けている。今回の資金は、個別ウォレットの評価からAIエージェント全体の評価へとスコープを広げるために使われる。調達額、バリュエーション、リード投資家はいずれも非開示。
| ファクト | ディテール | |---|---| | プロジェクト | ZeruAI | | セクター/カテゴリ | 分散型トラストインフラ / AI×Crypto行動インテリジェンス | | 調達ラウンド | プレシード | | 調達額 | 非開示 | | バリュエーション | 非開示 | | リード投資家 | 非開示 | | 参加投資家 | Notalone Ventures、過去: Router Protocol/Covalent/Jokeraceのエンジェル、Eigen Foundationグラント | | 発表日 | 2026年4月9日 |
なぜ今「行動スコア」なのか
DeFiの与信は、いまだに過剰担保がデフォルトだ。資本効率が悪い。ZeruAIは以下の仕組みで行動をリスク評価に変換し、与信の仕組みを更新しようとしている。
- 返済履歴、資本効率、相互作用パターンから特徴量を抽出
- 複数チェーンのデータを集約してML推論
- スコア(zScore)を公開可能な共通指標として提供
- 収益はAPI提供(データフィルタリング/アンダーライティング)から
導入プロトコルからは、以下の効果が報告されている。ただし数値は出ていない。
- エアドロップを狙ったSybil攻撃の抑制
- トークン流出の減少
- ユーザーリテンションの改善
ただし: これらは示唆にとどまる。定量的な検証はこれから。調達規模も非開示で、どれだけ長く開発を続けられるかは不透明だ。
AIエージェント時代の「信用」をどう測るか
AIエージェントが自律的にウォレットを持ち、オンチェーンで実行する流れが加速している。AgentScanはアイデンティティではなく実行履歴で評価する設計だ。
- 取引履歴ベースで挙動の一貫性と健全性を評価
- スコアの相互参照で、エージェント同士やプロトコルとの信頼境界を明確化
- Zapsと組み合わせれば、良い行動への動的インセンティブ設計が可能
投資家サイドでは、Notalone Venturesの参加は暗号×AIインフラへの継続的な関心を示している。一方で、リードや条件が開示されていないため、このラウンドのシグナル強度は判断しづらい。
追跡すべきKPI(仮説)
- アンダーコラテラライズド融資のデフォルト率・回収率の経時変化
- エアドロップ施策のCPA/CACと不正検知率の推移
- スコア導入前後でのTVL・資本回転率・リテンションの差分
- エージェントウォレットのシェア拡大に伴うAgentScanスコア分布の変化
リスクと前提条件
- 調達額・バリュエーションが非開示で、どれだけ走れるか見積もりにくい
- スコアの外部不整合(チェーン間の挙動差、データ欠落)とモデルバイアスの管理が課題
- スコアを前提とする与信・報酬設計への攻撃(偽装行動、ガイドライン回避)
要点: 行動ベースのスコアは担保中心のリスク管理を補完・置換できる可能性があるが、成果の一般化と攻撃耐性の検証はこれから。
判断: まだ初期段階。アンダーコラテラライズド与信やエージェント経済の基盤整備に賭けるなら、ビルダーとアーリーステージのファンド向き。トレーダーや短期参加者には、現時点で直接的なメリットは少ない。長期で見る人は進捗指標(定量KPIの開示と商用展開の範囲)を追っていくべきだろう。